福島名峰登頂プロジェクト「PEAK Project」。

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恐怖を克服。アドレナリン全開、会津のマッタンホルン蒲生岳。

2015年9月30日、最終水曜日の全日休みを利用してずーっと行きたかった会津のマッタンホルンの異名を持つ蒲生岳に行ってまいりました。
ここは標高828m。
高低差もGPSの正確な数値で577mと直近にPEAKを踏んだ鏡山の半分ほどしかありません。

ただここはガイドブックやインターネットの情報、写真を見て一筋縄ではいかないだろうという確証がありました。
「雨の後は行くな。」
「侮ると危険。」
そう、まだまだ浅い経験ですがその経験から直観的に分かっていたのです。
標高も高低差も宛てにならない、かなりストレスのかかる山だろうな、と。
また限りなく新潟県に近い福島県の西端でアプローチも片道4時間以上を強いられる事は必至。
最終水曜日でないとアタック出来ない上に豪雪地帯なうえ夏も熱い岩場という事もあり、行ける時期も6月、9月、10月の3か月のみが登山適期と天候核心な部分も自分の場合はありました。
くしくもこの日は絶好の晴れ予報。
流れも良いし当然ソロで行くしかないでしょう!

朝5時出発。
予定通り4時間かかって麓に着いた私を待っていたのは。。。

写真のように非常に尖がった山でした。
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もう、崖じゃん。

どうやって山頂まで行くというんでしょう。。。

蒲生岳。
その尖がりっぷりから只見のマッタンホルンという異名を誇っていたのです。
最近では会津のマッタンホルンと名付けも格上げされたようです。。。
とりあえず携帯も電波頼りないし人も居ないだろう。
登山ポストがあるから書いて、っと。。。
!!
入山カード入れをあけると登山道すぐ脇にスズメバチの巣があるから気をつけてね!!
というなんとも優しい方のアドバイスが!!
出来れば管理される方に駆除しておいて欲しかったけど!!
まあ知ってるのと知らないのとでは大違いである。
注意していこう、出会ってもなにもできないけど。。。


下部はなんてことのない平坦なアプローチ。
駐車場から徒歩で10分で登山口に入る。
2015年10月現在、残念ながら時計回りの小蒲生コースは新潟集中豪雨の影響でがけ崩れが起きたらしく無期限の通行禁止。
反時計回りの久保登山口コースのピストンとなります。
蒲生駅も只見線が集中豪雨で崩れ平成23年から不通。
線路も草が生えており復旧の見通しは今のところなし。
これはこれで味があって良いがなんだか寂しい感じ。
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この前情報から推測出来る事。
〇この辺りが崩れやすい地盤、急斜面である。
〇マイナーな山であり復旧も時間がかかっている様子から鑑みるにスズメバチの巣(確定)、動物、道標の不備などに備える必要がある。

さて、平坦な登山道入口は道しるべが若干分かりづらいところもあるが斜度も優しく足場は土。
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とるに足らないハイキング道という印象です。
振り返ると廃線となった線路と田んぼがのどかな風景を演出してくれます。
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しかし30分も進むと。。。

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土がなくなり完全に岩肌剥き出しの山と変貌を遂げました。

この日、クライミング要素が高くなる事を予測していた私はポールを持って行かずクライミングシューズを持って行ったのですが半分正解、半分間違いでした。
まずポールはほとんど役に立ちません。
角度が急すぎてほとんどが鎖場、ロープ帯でありポールは出番がほとんどなかったでしょう。
そしてクライミングシューズを出すほどのマイクロな足場ではありませんでした。
テクニカルなアルパインブーツのターンインしたソールなら問題なくそのまま登攀できます。
ジムでも岩でもクライミングの練習をしておけば、の話かもしれません。
この分野では登山の大先輩方よりも多少なりとも自信がある部分ですのであくまで主観ですが。
少なくともこの山で滑落してお亡くなりになっている方はいるようです。
無駄な物を持って行くよりも荷物をなるべく軽くし、ザックをしっかりと体の中心に寄せて足場に集中するべき山です。

ひたすらに角度は、見たままどんどんと急さを増し。

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核心部の岩場分かれ道に到達。

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ガイドブックには急坂の直登、とある。雨が降ったらと思うとぞっとする。

左側はロッククライミングと言って良いと思います。
行けない事はないですが岩場のトラバース。
それに鼻毛通しと呼ばれるルートにトライしたく無難に右回りをチョイス。

!!
出た、人だ!!
なんと5山ぶりの人に会った(笑)
正直マイナーな山の連続で人と会うのを想定していなかったのでかなりビックリした。
流石に嬉しくなりちょっと話こんでしまった。
東京から来たというご年配の男性。
なんでも只見の息子に会いに来たついでに山登りを楽しんでみたという。
「トラバースを超えたら10分くらいですかねー?」
なんて話していると
「いやー、30分くらいはかかりますよ。ここから結構急で這うように下山してきました、気を付けて」
と申される。
そうか、ここから急なのか。。。
スタートを切りだすが。

!!
今度こそ出た、スズメバチだ!!

大きい、7,8センチはあるだろうか。。。
パンツの周り10㎝くらいをぶんぶんと飛び続けてやがる。。。
危なくタオルでぶん殴るとこだった。

私の考えですが。

スズメバチは刺激しても倒しても仲間を呼ぶフェロモンを出す、と聞いたことがあります。
撃退スプレーでも常備していない限り下手に刺激は禁物。
しかしかがみ込んでやり過ごす、という方法が一般的なようですが巣がある可能性が高い山ではそーっと刺激しないよう、直進するのが吉ではないか、と考えています。
カチカチ警告音が出たら死亡確定です。

つまり見えない設定で行けばいいんです、たぶん。

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ご覧のように足を踏み外すと300mは滑落できる岩のトラバース。
鎖に体重を預けてはいけないと分かってはいるものの足がすくみます。
トラバースを超えて核心を終えた~!
ご褒美の鼻毛通しだ~、わーい。
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と喜んだらおじさまの言う通りぜーんぜんぬか喜びでした。
どんどん急になり。
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しまいにはほぼ直登。
しかし振り返るとなんとも美しい只見川。
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赤いやじるし!上にいけばいいんだろバカヤローコノヤロー!

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アウトレイジ状態になって独り言全開でアドレナリンを絞り出し集中の糸を切らさないように登り切った。
山頂は秋の気配がそれはもう、素晴らしいの一言でした。。。

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PEAKを踏むとたいてい長居はしないわたくしですが流石に緊張しっぱなしだったのかしばらく脱力。
20分ほど休むと12時なのにだんだんと冷えてきた。
9月に夜には10度を下回る只見。
冷えないうちに退散と参りましょう。

本来ならば裏側に回って一周したいところですががけ崩れでは仕方がない。
スズメバチの巣がある来た道へピストンと決め込みましょう。
下山。

いつもならばポールを駆使し、体力的にも楽なはずがこの山で初めて思いました。

下山の方が辛くね?

とにかく足場が斜め、岩で滑るというのが恐怖です。
しかも今までポール頼りで降りてきた私はことごとく小滑落。
3度滑り尻と腕と足首を強打&捻った。
全治3日という感じでしたが前に転んでいたら人生終わっていた。。。

そこで途中から考えました。
クライミングにも落ちるには理由があります。
考えないやつは何度も同じところで落ちている。
山のクライミングも一緒ではないか?

まず足場を見極めます。

足首で固定されているアルパインシューズなのでできる限り平らに近いところに、できればつま先を左右どちらかに、斜度に90度になるよう踏めばいいのではないか?

こんな単純な事がポールという快適装備でおろそかになっていた事に気が付けたのは大きい収穫でした。
この山の後からのポールを使った下山のスタイルが激変しました。

途中スズメバチに襲われそうになる事数度。
もはや核心部と思っていた岩場のトラバース部分ではまったく恐怖を感じなくなっていた。
振り返ると70度はあろうかという崖でゆっくりと景色を楽しむ余裕がありました。
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慣れって怖いですね。

行きはダッシュで通過したスズメバチの巣がある夫婦松も振り返ってゆっくり撮影。
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滑落の恐怖、蜂の恐怖から解放されたたったの4kmはまるで15km歩いたかのような疲労感のある山でした。

しかし終わってみるとなんとも達成感のある山です。


せっかく遠くまで来たし明るいうちに絶景スポットを下見。

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夜の星空を待って一枚。

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スノーシェードのライトアップを三脚を使い撮影。
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川は増水してるし満月気味で本来なら降り注ぐような星が見えるはずですが残念。
月齢を前もって調べておくのも勉強になりました。
今年の目標の一つ、会津のマッタンホルンを満喫しつくした一日でした。

この後のPEAK Projectは会津方面は2016シーズンまでお預けとなります。
阿武隈連峰、いわき方面を紅葉を楽しみながら10月以降は攻めます。

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by mspeak | 2015-10-26 20:18 | 蒲生岳

福島の名峰を全くの初心者がレポート。


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