福島名峰登頂プロジェクト「PEAK Project」。

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カテゴリ:川桁山( 1 )

体力度3。川桁山。山は距離ではない。ハッカスプレーの恩恵。

2015年8月12日。
酷暑の2015年、8月も半ばになるとなぜか急に涼しくなった。
日の入りが徐々に早まり木々に囲まれた山の日没は早い。

さて、前回の箕輪山から一週間後と良いペースで登れているのもあって一度試してみたかったのです。
体力度3。

ガイドブックでは最も体力を要する難易度であり前回ギリギリだ―と感じた箕輪山で2でした。(ガイドブックよりキツい逆回りコースでしたが)

最も近場で体力度が高い山を前回習得した超スローペースの上を見ない歩きで行くとどうなるのか?
敗退率99%と考えられましたが急坂で短い山、極端なアップダウンの無いルートなら最悪戻れると睨んで敗退覚悟で挑む事にしました。

その名も…川桁山!!


…どこそれ??(;´・ω・)

今までかなりメジャーな山を中心にトライしてきましたがなんだか聞いたことない山だなあ。。。
ガイドブックにもリゾート開発の陰に追いやられた悲劇の山なんて書いてあるし。

とにかく行ってみようじゃないの。

お盆の連休真っただ中。

猪苗代リゾートホテルは連休をゆっくりと家族で過ごす観光客であふれていた。
公園のようなアトラクションゾーンを進むとひっそりとある横道。


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リゾートの脇に申し訳なさそうに佇むのが川桁山への入り口である。

進むと次第に道が荒れていく。
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尖った石、段差がが次第に目立ち始め、スポーツカーでなければ進めない事は無いのだろうがかなり下回りへの傷、ダメージを覚悟した方が良い道です。
後半は車高を落とした車は行かない方が良いでしょう。
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見えた、川桁山だ。ガスっているなー。
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リフトアップしてMTタイヤ装着のジムニーは何事も無かったかのように一番奥まで進んで行けました。
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連休真っただ中だというのにたどり着いた登山道入り口には人一人、車一台すらない状況であった。
結局この山でも一日を通して誰一人として会わなかったとさ。最近行くところがマニアックなのかな。。。

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これから始まるスパルタンな道を連想させるエントランス。
先が全く見えない。
右か?左か?
GPSが無いと困難な入口。

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全くやる気が見えない登山道入り口看板。
とりあえず川のせせらぎが聞こえる駐車場(10台前後は行けるか?)に車を停め、いつも通り降りて準備を始めます。

!?

なんだこのデカい蜂みたいのは。。。

アブだ!かなりウザいサイズだ(;´Д`)
こんなのに吸血されたらひとたまりもねー。
とにかく少し開けたすきまからアブが猛烈な勢いで、沢山飛び込んでくる。
後で調べるとアブは車の排気ガスが大好きらしい。
一旦車中に退避。窓を閉めるもガンガンとアブが車体にアタックしてくる。

そうか、夏の水のある環境、1300m急の低山の樹林帯。
風も無く格好の吸血ゾーンなんだな。

幸いにも車中泊仕様へと改造のため、せんじつ助手席を外したジムニー。
車中でゆったりと靴を履き、準備を滞りなく進ませる。

前回の反省から体温調整、虫除けの効果が期待できるハッカスプレーを今回から導入しました。

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希釈して使うのが通常なようだがハットのツバ、手首から顔に塗りたくるなどで適正な効果を出すには原液が良いと判断している。ビンはガラス製の為持ち運びには注意が必要。詰め替え用は圧倒的にコスパが良い。現段階で800円+税。
そしてこういう時の為のパワー森林香。

結果的に申すとこのハッカスプレー。

虫除け効果は万能ではないが一定のメリットが得られる事が分かりました。
〇真夏の清涼効果。
これは帽子のインナー側、ツバの内側に5スプレー位吹き付けると真夏の暑い気温も何のその。
ガンガンと照らす直射日光がうそのように快適になるじゃありませんか!!更に香りのリラックス効果も大。
〇小さな虫を寄せ付けない
顔の周りをぶんぶんと飛び回るメマトイのような小さいサイズの虫には効果テキメンです。
アブにはあまり効果が期待できない、蜂はかえって寄ってくるらしい。

GPSをON。
川桁山の山頂までは片道約2時間。
距離にして6km程度でした。
ガイドブックではジムニーでアプローチする道を歩きで行くことになっており、また大回りで下りも斜度こそ緩やかですが距離があります。
今回はアプローチを短縮できたこと、またピストンで急だが短い道を往復するルートを選択した為核心部だけをアタックする山行です。
体力度3は全部歩いた場合だろうから体力度2.5くらいと思って頂ければという印象です。

いくらキツイと言ってもこの距離なら大丈夫じゃないだろうか??
ガイドブックには山頂手前に「急坂」の文字があります。


急坂。

ひーひー今までの山を登ってきた私ですがガイドブックに初めて記載のある急坂とはいったいどれほどの急斜面なんだろうか…


GPSの登山道を行くとわずかに山道を歩いたあと沢沿いを行くルートのようです。
開始10分。


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いきなり来た、岩地帯である。

今となっては斜度はたいした事は無いが浮石に注意が必要です。

この山全体に言える事なのですがほぼ景観が無いに等しく鏡山によく似た印象です。
真夏でも登山に適すると言える背景には樹林帯の中である事が挙げられます。
直射日光が遮られている。
しかしこのどこまでも続く先の見えない閉塞感はあまり気持ちの良い物ではありません。
更に道中は迷う事は考えにくい一本道なのですが指標が皆無です。
GPSや高度計が無いと現在どのへんなのか分かりません。

岩を超えると小川に沿った朗らかな緩やかな登山道がしばらく続ききっと誰しもがこのような印象を持つでしょう。
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「なんだ、急斜面と言ってもペースを守れば大丈夫なのかな」

登山道に水が流れ込み出す道に遭遇するその時までは。


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粘土質の登山道に変わり、沢の水が登山道に流れ込む、そんな道に遭遇した直後。
だらだらとした上り坂の先に突然にひときわ急な急坂の取り付きが姿を現しました。

まさしく鏡山の再来。

「これ以上先に進むと後戻りは出来ないぞ…」

山の声が聞こえてくるかのように来るものを拒む強烈な急坂。
箕輪山で一つの壁を越えた気がした私は悟ったのでした。


儚い自信であった。。。

粘土質であることが災いしているのかどうなのか、とにかく想像を超えた角度と雰囲気である。
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横から見るとこの角度。
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ポールを最短にしいったん休憩をいれカロリーを摂取。
「これから先は未知の急坂になる。」
相変わらず本気のカメラシステム2kgと夏山の水、2kg。その他もろもろの重装備(自分の中では)です。
直感的に少しずつでもいいから背負う荷物の重量を減らしたい、そんな気持ちが働いていました。
トータルの登山時間をGPSから逆算し、食べたり飲んだりして下山時にはザックが限りなく空になっているのが日帰り登山の理想だと思います。

急坂は踏み跡こそあるが滑り、またつかまる鎖もない。
一歩ずつ慎重に、道を選んではハイステップである。
まだまだ折り返し地点のガイドブックのいう急坂の取り付きにすら達していない。
急坂を登りだすと極端にペースが落ちた。
心拍数を一定にする事が大事である、しかし休めるようなポイントは少なく、少し止まろうものならアブの襲来に遭う。

この時点で私が川桁山のPEAKを踏む鍵となると確信した事は下記でありました。
〇上に上に、行くほど急になる坂。如何に山頂直前の急坂まで体力と精神力を温存するか。
〇GPS、上をなるべく見ず、目下の直登足場のみに集中できるか(精神的に焦らない)
〇天候が午後からすぐれない。午前中にPEAKを踏めるか。
〇立ち止まると襲ってくる無数のアブを回避しながら休息を正しくとれるか。

最初の急坂はしばらくすると徐々に穏やかに、しかしその角度は決して楽ではないものでした。
なんとかたどり着いたガイドブックの言う「急坂」への取り付きへとつながる縦走ポイントへ。
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ガイドブックを見る限り登り、登りは登り、下りは下りと明確に分かれているように見えた山でしたが実際は縦走ポイントは若干のアップダウンが入り、そこから徐々に登りになるものでした。

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帰りも登りがあるのか。。。
こういう細かいところもガイドブックには記載してほしい。

もはやどこが道だか分かりにくいやぶ漕ぎ。
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GPSの高度グラフがだいたいのこれからのアップダウンぶりを表示してくれます。
これから取り付く坂は。。。今までの比ではありません。
ここに来て帰り道も登りが入るというプレッシャーは精神的に大きな負担となりました。

そして来た。
急坂への取り付きポイントです。

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写真では伝わりづらい部分があるかと思いますが端的に申します。


最大斜度59度、ほぼ崖に近い!

「崖の上のシマ、滑落してヘリにて救難される。」
新聞の一番隅っこに小さく掲載される自分の記事が目下に浮かぶレベルだ。。。

更に樹林帯がなくなり木が低くなって直射日光の影響が出てまいりました。

横を向くといかにここの斜度が狂っているのかが分かります。やっぱ写真では伝わりづらい。。。


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なんて、なんて辛い坂なんだ。。。

これが体力度3の傾斜か。
こんなのをずーっと登り続けられる人達っていったい。。。
私はこんな斜度の続く山を何時間も歩き続ける事が出来るんだろうか。

平均斜度30度を超えるであろう超急斜面を一歩一歩。
確実に刻んでまいります。
ここまで来ると如何にゆっくりとはいえ、ハイステップ、転んだら即滑落でただでは済まないというプレッシャーもあり流石に平常心を保つのは不可能でした。
息が上がる。
立ち止まるとアブが襲ってきて休んだ気がしない。
というか休めるポイントが無い。
急斜面なので足首がつま先上がりに固定されふくらはぎが痛い。
少しずつ、確実に山頂へ向かう緩やかに好転するポイント目指して進んでいく。

暑さ、急斜面、そして粘土質な土質。
この急坂ポイントを曲がると縦走となり斜度はほぼなくなるとある。

急坂を、一歩一歩、クライマーズハイに持って行く。

GPSを頻繁に見てはいけない、と分かっているのですが折り返し地点の楽になるポイントが直線距離にしてもう目と鼻の先のはずなのに。。。

なんで着かないんでしょう。

天候が晴れなら、また足元が雨上がりでぬかるんでいたらおそらく敗退していた。
条件が最適だったのが味方しました。

急坂の先に空が見えた。

もしかしてこれは。。。
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今までの急坂がウソのように平坦になった瞬間。
急坂が終わりを告げたのです。

ここまでくると視界が左右に開けるのもあり、また若干の下りと短い緩やかな登りが15分ほど続きますが山頂へ至るにはそれほどの体力は必要ありませんでした。
強いて言うなら山頂手前の道の両脇の幅が1mあまりと狭い点。

足にきているので気を抜こうものなら左右に踏み外すと大きく滑落するポイントが有るという事です。
足にきている終盤戦でこのプレッシャーはなかなかのもの。
新聞に載りたくなーい!

そしてその時が!
川桁山の山頂です!!

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…なんだこの折れた板っきれは(;´Д`)
文字がかすれて山頂だかなんだかわかんねー。
なんてやる気のない山頂なんだ。。。こんな達成感の無い山頂は初めてだ。。。

とにかくこの展望がお世辞にも良いとは言えない地点が山頂のようです。

しかし遠く猪苗代湖が見える西回りの下山はおそらく気持ちの良い景色が続くのでしょう。
私は短時間急坂コースという事でピストン、来た道を戻ります。
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箕輪山のようなジリジリの日照りと気温も無く、また急坂ゾーンは樹林帯なので直射日光が避けられる点は8月でもオススメできるポイントです。

しかし急坂、粘土質の道は初めて下りでキツイと感じました。。。
下り時はなるべく水や食料など重量を減らせるものは極力減らしてしまいたい。
これだけの急坂ですと足へのダメージが流石にあります。
ポールはこのルートを攻める場合必須、とにかく慎重にスピードを上げず。
縦走ポイントまでは比較的時間も短いですが最初の急坂ポイントはほんとに危ない。
転んだら絶対止まらない。
危険度1はおかしい、そもそも3段階だから問題がある気がするのだが甘く見て1.5。
2と考えて行ったほうが良い。

かくして下りは至極慎重に、しかしペースを落とさず帰り時間と距離をGPSで確認、ザックの中の水をうまく処理しながら軽量化を図る。
最初の急坂の取り付きポイントまで気の緩みを許さない緊張感の中、緩やかな道に降り立った時。
川桁山の山行は事実上終了となりました。

6.1km 高低差600m弱。

安達太良山の約半分の距離しか歩かない、高低差も少ないにも関わらず誰も居ず、良い景観も見えず、泥と急斜面、アブで休息もゆっくり取れない。
GPS無しだと10㎞は歩いた印象だったと思います。

今まで積み上げてきた登山で私は確信に至りました。


山の体力度、危険度は距離や高低差とは全くの無関係です。


例えば雄国沼。
ここは15㎞程度の距離なのですが人も居るし斜度も緩く時間こそかかりますが疲労度は限りなく0に近い、今思えば、ですが。
今回の6.1kmは自分との闘い、恐怖との闘い、危険との闘いなのです。

体力度3。

今回はガイドブックの一番キツいところをかいつまんで体験したので真の意味で体力度3を制した、とは微塵も思っていませんがクライマーズハイの心得と行動食、しかるべきザック、クライミング要素の高い登山靴の必要を強く感じた山です。
リゾート地にありますが決してリゾートのノリでトライしてはいけないと感じました。

今年もいよいよ秋に突入。
福島の短い秋が始まります。
このあと約1か月。水曜日毎週雨に見舞われ山のお預けになるとは夢にも思いませんでした。


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by mspeak | 2015-09-21 17:05 | 川桁山

福島の名峰を全くの初心者がレポート。


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